今日の唐揚げは我ながら最高にいい味を出してると思うんだ。

「んー…柚子七味は効くねェ」

家に帰ったらレシピに追加しとかないといけないなァ、と思って僕は空を見上げた。
ほら、青空見ながらおいしいもの食べるって風情があるじゃあないか。

でも珍しくそんな風情に浸ろうとする時に限って肝心の空が見えなかったりする。

「おやま、広瀬に藤原なんて珍しい組み合わせだねェ」

目の前には同じクラスの男二人。
あんまり気が合うタイプとオーラをしてないと思ってたんだけど…なんでか一緒にいる。
しかも確実に他校の子に着物着てる人がいたりしちゃってるよ。
なにさ、この組み合わせ。

「…宮部」
「だから何さ」

広瀬ってばそんなに威嚇するような声出さなくてもいいじゃないか。
僕、ここ三日くらいは変なことしてないと思うんだけど…黒魔術とか呪い代行とか。

「…お前、あれだけ執着していたのにその反応か…」
「ん…?」

はぁ、と広瀬にため息をつかれた。
はて、僕が執着。
この僕が執着?

「躬恒」
「はいはい、どうもーはじめましてー」
「はじめましてー…?」

広瀬に呼ばれたと思われる着物の人物が挨拶をしてきたので反射的に返した。

「…?」

何か、違和感を感じる。
目の前に立って柔らかくにこにこと笑っている人物から。
気付いたら自然と、ぴん、と気を張り詰めていた。

「そないに緊張せんでもええのに…」

いっつも会っとるやーん、と少し拗ねた顔をして着物の人は言った。
いつも。
いつも?

「…あ、」

一瞬にして思考回路が繋がった。

「あー!あんた!あんたなのか!」
「あ、わかったー?」

思わず声をあげてしまった。
だってさ、ずっと見たかった人が目の前にいるわけなんだよ!

「やたらでかい気の持ち主だからもっとゴツイのを想像してたんだけど…」
「ゴツないやろー?」
「…うん」

僕は世間一般でいう霊感が強い人間に分類される。
まァ、強いっていっても気配を感知する力が異常に強いだけで、見ることはできない。
そんな僕よりもっと特殊な力に長けてる人間はいるから、そんなに自慢するでもないんだけどね。

だからいつも広瀬の側にいる大きな気配が気になっていた。
普通の霊ならこんなに大きいな気配は持たない。
オーラ的に悪霊ではない。
だけど守護霊だったり背後霊だったりではない。
一体なんなんだろうって、ずっと思っていた。

「自分躬恒っていいますーよろしくー」
「うん、あぁ僕、宮部晴紀っていうんだ、ハルって呼んでくれていいよ」

予想は裏切られたけど…まァいっか。

「これから楽しくなりそうだなァ…」


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安部清明→宮部晴紀(みやべ はるき)